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皮膚細胞=独自に女性ホルモンを合成

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皮膚細胞についての研究報告がある。これまでホルモンのことや人体について調べてきたこともあって驚いた。東京大学大学院総合文化研究科 川 戸 佳 氏の研究報告です。「皮膚細胞は独自に女性ホルモンを合成し、 それが皮膚細胞の活動を制御している。」ことについて、実験内容を紹介しながら根拠を明らかにしている。

私のこのサイトの「腸は第二の脳 腸内細菌と免疫細胞が全身を守る」の記事で腸内細菌と免疫細胞について掲載し、アレルギーやアトピー性皮膚炎が原因不明の現代病と言われてきたが、ほぼ解明されたのではないかと感じたところだ。それからすぐに上記の研究報告を見つけて驚いている。専門的用語が多用されているため、分かりやすく結果のみ簡潔にまとめさせていただいた。用語説明も入れさせていただいた。ご了承いただきたい。


1 女性の顔の肌のつやつや感を保つには、女性ホルモンであるエストラジオール(E2)が重要であることは、よく知られている。生理サイクルと顔の肌の状態には密接な関係があり、エストラジオールは肌の最表層の角層の水分を保持し肌の潤いを保つ。また、真皮層のコラーゲンやエラスチン(コラーゲンの線維を支える役割を持つ線維)の合成を促進して、肌のハリを保ち、シワやタルミを予防する働きがある。

2 海馬(大脳皮質側頭葉の奥深くにある大脳古皮質の一領域。近年,脳生理学における記憶のメカニズム)の研究は海馬を中心に進んできており,少なくとも新しい記憶の貯蔵装置としての海馬の役割は疑う余地がなくなった。・・・認知症)においては、コレステロールから男性ホルモン・女性ホルモンに至る完全な局所合成系が存在し、作用サイトである女性ホルモン受容体や男性ホルモン受容体が神経細胞に局在することが証明されている。

3 実験結果抜粋
(1)
海馬では 局所合成されたE2が生理作用を担っている。顔の皮膚において、エストラジオールE2またはエストロンE1を合成する酵素P450aromataseの発現量は海馬と比較して低かった。その発現量は、海馬の1/50程度である。しかし、これだけの発現量があれば、例えば、卵胞期における局所濃度の推定値は4.3×1/50=0.08 nMとなり、血中とほぼ同程度の合成が行われていると推測される。よって、血中から供給されるE2に顔の皮膚自身の合成したE2が上乗せされて、十分な発現量を持つ皮膚ERa(受容体)に結合し、顔の皮膚の状態を改善する効果を発揮しているであろう。

(2)女性ホルモンE2は、皮膚水分・コラーゲン合成・ヒアルロン酸増加といった生理作用を及ぼし、皮膚の状態を改善する。このE2の作用サイトの候補として、ERa、 ERb(受容体)の二つがある。本研究で、顔の皮膚において女性ホルモン受容体であるERaは、卵巣の1/10という十分に高い発現量であることが分かった。これに対して、ERbの発現量は卵巣の約1/300であった。このことから、顔の皮膚において女性ホルモンは、主にERaを介して生理作用を十分に発揮していると考えられる。海馬においては、E2がERa、ERbを介してシナプス可塑性の変化や樹状突起スパイン(シナプス後部)密度の増加などを引き起こす。本研究において、顔の皮膚におけるERa、ERbの発現量は海馬と同程度であることから、 ERは、生理作用を引き起こすのに十分な量だけ発現している。

(3)メスラット顔の皮膚において、女性ホルモンの局所合成系が存在することを明らかにした。エストラジオール E2合成系の酵素、及び、その受容体ERa、ERbは、脳の海馬と同程度のレベルで発現していた。顔の皮膚におけるE2局所濃度は、血中とほぼ同程度と推測される。これは海馬と血中におけるE2濃度の質量分析結果を用いて、局所合成系mRNAの発現レベルを比較して推測した。顔の皮膚で合成されるE2と血中から来るE2が合流して、ERa、ERbに結合して、皮膚の状態を改善していることが示唆される。海馬での局所合成能(mRNA発現)は性周期によらなか ったので、顔の皮膚でも局所合成能が一定だと仮定すると、卵巣からくるPROGとE2の性周期変動によって、顔の皮膚でのE2の性周期変動が作り出されるのではないか。


最後に
皮膚細胞が独自に女性ホルモンを合成しているなんて、びっくりした。そしてそれが皮膚細胞の活動を制御しているとは!!!また、エストラジオール(E2)の作用サイトの候補として、ERa、 ERbという2種類の受容体があるという記述には、本当にびっくりした。皮膚の健康的なうるおいの制御が皮膚自身でも行われているなんて。ならば、皮膚の異常も分かりやすく納得できる。
また、女性ホルモンは、体の中で重要な作用をもたらすことも分かった。そして、だからこそ、皮膚も内分泌かく乱化学物質による影響を受けやすいのだと思ったが、どうだろうか。
内分泌かく乱化学物質による受容体におけるかく乱作用については、当サイトの今私が最も恐れていることー環境ホルモンー3内分泌かく乱物質とは何?を読んでいただきたい。

エストラジオール(E2)とは?
エストロゲンは卵胞ホルモンと総称される性ステロイドホルモンで、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)などが知られている。E2は女性では主として卵巣、胎盤などで産生され、アンドロステンジオンから転換されるE1またはテストステロンから生成される、男性では副腎、精巣由来のアンドロステンジオンやテストステロンから生成される。

エストラジオール(E2)は、エストロゲンの中で最も強い卵胞ホルモン作用を持つ物質で、女性の二次性徴に働き、卵巣機能調節、卵胞発育、子宮内膜増殖などの作用を示す。

アンドロステンジオンとは?
副腎、性腺で生産される19炭素のステロイドホルモンで、テストステロン、エストロン、エストラジオールのそれぞれの生合成経路の中間生成物である。
一般にアンドロステンジオンは性ホルモンの前駆体である。また、血漿中にも分泌され、末梢組織でテストステロンとエストロゲンに変換されるアンドロステンジオンはデヒドロエピアンドロステロンもしくは17-ヒドロキシプロゲステロンから変換される。副腎で生産されたアンドロステンジオンは副腎皮質ホルモンによって制御され、性腺で生産されたアンドロステンジオンはゴナドトロピンによって制御される。閉経前の女性のアンドロステンジオンの全生産量は約3mg/dayで、副腎と卵巣からそれぞれ半量ずつ生産される。更年期になると、卵巣から分泌されるステロイドは減少し、アンドロステンジオンの生産量は約半分になる。それでも、アンドロステンジオンは閉経後の卵巣で生産される重要なステロイドである。サプリメントは禁止されているはずだ。

テストステロンとは?
アンドロゲンに属するステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種。
胎生期、妊娠6週目から24週目にかけて大量のテストステロンが分泌される時期がありこれにさらされること(アンドロゲン・シャワーと呼ばれる)によって、脳は女性的特徴(ホルモン分泌の周期性)を失う。なお、男性外生殖器の形成に関係するのは、5αリダクターゼにより、代謝されたジヒドロテストステロン(DHT)によるもの。思春期以降の男性では睾丸からの分泌が顕著に増加し、男性的な身体の特徴が形作られる(二次性徴)。一般に30歳ごろから減少しはじめ、年1-2%の割合で減少する。テストステロンの減少は男性更年期と呼ばれるが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化せず、身体や精神に与える影響も個人差が大きい。ストレスなどで急激な減少を起こすと、男性更年期障害を起こす。テストステロンの減少率は個人差が大きく、70代になっても、30代の平均値に匹敵するテストステロン値を維持している男性も多い。20代から40代でテストステロンが低い場合は、2型糖尿病、メタボリック症候群のリスクが増大すると報告されている


局所タンパク質合成とは?
神経細胞においてmRNAからのタンパク質への翻訳は細胞体のみならず樹状突起や軸索でも行われる。このような細胞体から離れた場所でのタンパク質合成のことを特に局所タンパク質合成と呼ぶ。局所タンパク質合成に使われるmRNAはRNA顆粒とよばれるmRNA-タンパク質複合体として翻訳されることなく細胞体から樹状突起や軸策に輸送される。細胞外からの刺激などによって翻訳抑制が解除されるとRNA顆粒からのタンパク質の合成が開始される。このような刺激依存的な局所タンパク質合成はタンパク質の局在を巧妙に制御するための機構の一つだと考えられている。局所タンパク質合成の破たんは精神発達障害の原因となりうることが示唆されている。


受容体とは?
今私が最も恐れていることー環境ホルモンー3内分泌かく乱物質とは何?に掲載しています。

 

参考
東京大学大学院総合文化研究科 川 戸 佳 氏 研究報告
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
 

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